【LPAの会コラム】年の差夫婦はトクをする?
2023.11.15
年の差夫婦はトクをする?
公的年金は老後の大事な資金ですね。年金の扶養手当にあたるものが「加給年金」です。これもしっかり理解して、請求漏れのないようにしましょう。
年金制度について
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の2階建て構造です。会社員・公務員の方は、2つの年金制度に加入します。
加給年金とは?
もともとは厚生年金の扶養手当の意味があり、配偶者が専業主婦(夫)を前提としています。そのため配偶者に一定の年収や、厚生年金保険の加入期間が長かった場合は支給されません。国民年金にはないしくみです。
支給条件
- 65歳到達時点での厚生年金の被保険者期間が20年以上
- 生計同一関係であり、対象者が生計を維持されていること
- 配偶者は年齢が65歳未満かつ年収850万円未満(所得が655万5,000円未満)
- 子どもは18歳到達年度の末日までの間の子が対象
妻(※)がもらえる場合 もらえない場合
*夫の場合は妻を読み替えてください。
1.妻が夫に生計を維持されている場合
ⅰ 妻が夫よりも年下
夫に支給されます。夫が65歳になって老齢厚生年金を受給するとき、妻が65歳になるまで支給されます。
例)夫が昭和18年4月2日以後の生まれ、妻65歳未満
夫の老齢厚生年金+【加給年金223,800円+特別加算165,100円】=388,900円
加給年金は老齢厚生年金の受給時に支給されます。老齢厚生年金を繰り下げると加給年金はもらえません。 老齢基礎年金のみ繰り下げたほうが有利な方が多いでしょう。
ⅱ 妻が年上
妻がすでに65歳となり、自身の老齢基礎年金を受給しているため支給されません。
2.生計維持されていない場合
支給されません。配偶者が令和4年4月以降、老齢厚生年金や退職共済年金、障害年金を受給する権利がある場合(在職により支給停止となっている場合等)も含みます。
※ただし、以下の1および2の要件を満たす場合については、令和4年4月以降も引き続き加給年金の支給を継続する経過措置が設けられています。
- 令和4年3月時点で、本人の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金が支給されている。
- 令和4年3月時点で、加給年金額の対象者である配偶者が、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上ある老齢厚生年金等の受給権を有しており、全額が支給停止されている。
請求が必要な場合
特別支給の老齢厚生年金の請求時に、加給年金額の対象者となり得る方が確認されていなかった場合等は、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」の提出が必要です。
添付書類
まとめ
- 夫が厚生老齢年金を繰り上げても、加給年金を早くもらえません。65歳以上が要件。
- 夫が厚生老齢年金を繰り下げると、繰り下げている間は、加給年金はもらえません。
- 妻が年金を繰り上げても夫に加給年金は支給されます。(妻が特別支給の厚生年金受給の場合はもらえないことがあります。)
*※夫が専業主夫の場合は、夫と妻を読み替えてください。
支給方法
- 繰り上げ受給:基礎年金、厚生年金は原則同時受給
- 繰り下げ受給:基礎年金、厚生年金は同時でも別々でも可
「厚生年金を繰り下げると加給年金が支給されなくなるから、基礎年金だけ繰り下げよう」そんな選択も可能です。
年金は老後の大事な資金ですので、請求忘れがないようにしましょう。万が一請求を忘れた場合は、過去5年まで遡って請求できます。
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